連載 フクシマ日記─A diary from Fukushima[3]
2016年7月某日 「桃」
佐治 重衡
1
1福島県立医科大学腫瘍内科学講座
pp.404-405
発行日 2016年7月15日
Published Date 2016/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200102
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福島にきて、もうすぐ2年が経とうとしています。福島弁(?)はまだ話せませんし、native speakerの患者さんが本気を出すと、お話してくださっている自覚症状や病歴を理解するのに相当な努力を要しておりますが、福島の食べ物にはすっかりなじんでおいしく過ごしています。
夏の終わりに福島に赴任し、一番初めにしたことはJAの直販店に行って12個入り1箱1,500円也で福島の桃を購入し、毎日1つずつひとりで食べることでした。昔からの夢でした。大人買いならぬ、大人食いです。6月下旬から9月末まで、桃は毎週のように旬の品種が変化していくので、JAに行くたびにお店の人に教えていただき、そのときにベストな品種の桃に挑戦しました。そして、お世話になった関西の仲間にも桃、梨、ぶどうなどを次々と贈ってみました。福島の果物はとてもおいしく安いので、実際には送料のほうが高いのですが。どうして、そうしたのか? それは、実感として今の福島の状況を感じてほしかったのだと思います。
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