連載 フクシマ日記─A diary from Fukushima[2]
2015年12月某日 「西高東低」
佐治 重衡
1
1福島県立医科大学腫瘍内科学講座
pp.196-197
発行日 2016年2月15日
Published Date 2016/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200066
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山登りをする人にとって、“西高東低”という言葉は、“ちょっとやばい”という響きのある言葉です。冬型の代表である西高東低の気圧配置は、東の低気圧と西の高気圧の間に等圧線が幾重にも南北に走る天気図になりますが、この等圧線の間隔が狭いと荒れた天気になります。実際、ぼくも秋の北アルプス常念岳の稜線上で厳しい西高東低の気圧配置となり、“かなりやばい”ことになった経験があります。
医療者にとっての“西高東低”は、医師数や医学部設置数の偏在を意味します。例えば、関西地方の2府4県では大阪、京都、兵庫に複数の医学部(医科大学)が存在するのに対して、東北6県には政令指定都市をもつ宮城県にさえ1つです(2016年4月からやっと2つになります)。北海道、東北、関東、中部、関西、中四国、九州沖縄と地域分類をしても、唯一、東北地方だけが1県1医学部の状態でした。また、人口10万人当たりの医師数をみても、関西、中四国、九州沖縄地方では奈良県と滋賀県を除いた全ての都道府県で全国平均を上回っていますⅰ。
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