特集 —え、ウソ!実は◯◯だった!?—“コモンディジーズ”の診断ピットフォール
④五月病!?—仕事はストレスじゃありません!
鈴木 森香
1
1国立病院機構 仙台医療センター 診療支援センター
pp.258-259
発行日 2024年3月15日
Published Date 2024/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204697
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Case
患者:24歳、女性
主訴:乗り物酔い(通勤時の悪心・嘔吐)
既往歴:なし
内服:ジフェンヒドラミンサリチル酸塩・ジプロフィリン(トラベルミン®)配合錠(頓用)
嗜好歴:喫煙なし、機会飲酒
現病歴:今年の4月に就職してバス通勤を始めた。ゴールデンウィーク明けに、出勤中のバス車内で初めて悪心を自覚し、その後、通勤時に頻回に悪心を認めるようになった。交通手段を電車に変更したが、同様に悪心を自覚するため、仕事を遅刻・早退・欠勤するようになった。
近医内科や耳鼻科を受診したが、診察時は自覚症状もなく、バイタルサインや一般血液検査、平衡機能検査などに異常所見はなく、「動揺病」の診断となった。しかし、内服薬を使用しても症状は改善せず、嘔吐も出現するようになった。原因精査のため上部消化管内視鏡検査を行ったが、特記すべき異常所見は認めなかった。
症状を自覚して4週間後に、精査目的で当院を受診する際の電車内でも悪心を自覚し、病院到着時に嘔吐してしまった。
身体所見:身長155cm、体重65kg(-1.5kg/1カ月)、BMI 27.1kg/m2。体温37.2℃、血圧140/74mmHg、脈拍数114回/分。手指の振戦あり。その他、明らかな異常所見なし。
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