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Case
患者:62歳、男性
主訴:意識障害
既往歴:心房細動、高血圧症、脂質異常症、非機能性無症候性下垂体腺腫摘出後
内服:オルメサルタン10mg 1錠/日、ワルファリン3mg 1錠/日、アロプリノール100mg 1錠/日、ビソプロロール0.625mg 2錠/日
生活歴:工場勤務で、1週間交代で日勤・夜勤を繰り返す生活。妻と2人暮らし。食事は不規則でカップ麺か、飲酒のみのことも多い。
嗜好歴:飲酒;毎日ワイン2分の1本+焼酎4杯は飲んでいる。喫煙;30代まで数本/日。
現病歴:飲酒すると、日常的に呂律が回らなくなる。来院当日は夜勤後に飲酒。当初は仕事の疲れと思ったが、脱力感が強く、転倒を繰り返した。妻が見ると、身体をピクピクさせており、失禁を認め、呂律が回っていなかった。普段から寡黙なこともあり、意思疎通ができず救急要請。頭痛なし、悪心・嘔吐なし。
身体所見:身長175cm、体重80kg、BMI 26.1kg/m2。体温37.8℃、血圧177/91mmHg、脈拍数95回/分・不整、呼吸数20回/分、SpO2 97%(室内気)。JCS 2、GCS E4V4M6。
外観;ややぐったりしている。頭頸部;外傷なし。眼瞼結膜貧血・眼球結膜黄染なし。口腔内異常なし、舌咬傷なし。胸部;心音不整、心雑音なし。肺音清。右側胸部に圧痛あり。腹部;腸雑音正常。右側腹部に圧痛あり。
神経(意識障害で指示が入りにくいため制限あり);瞳孔4mm/4mm、対光反射迅速。視野は指示が入らず評価できず。眼球運動障害・眼振なし。顔面感覚低下は調べた範囲ではなし、顔面の運動異常なし。難聴なし。カーテン徴候陰性、舌運動および胸鎖乳突筋・僧帽筋は検査できず。上肢挙上試験は右手回内あり。MMT(徒手筋力テスト)は右上肢のみ4、その他は5。Babinski徴候は両側陰性。腱反射は上腕二頭筋・三頭筋・膝蓋腱反射に低下・亢進なし、左右差なし。回内回外試験は右で拙劣。指鼻指試験・膝踵試験は指示が入らず実施できず。高次脳機能;名前〇、場所×、日付×。質問に答えられなかったり、見当違いの返答あり。会話は呂律が回っていない印象で、構音障害あり。計算は「100-7=91」で間違い。その他の検査は実施できず。
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