#総合診療
#書評:—ジェネラリストのための—がん診療ポケットブック
上田 剛士
1
1洛和会丸太町病院 救急・総合診療科
pp.718
発行日 2023年6月15日
Published Date 2023/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204334
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この1冊だけでさまざまながんに対応できる
ジェネラリストにとって心強い味方ができた。『ジェネラリストのためのがん診療ポケットブック』である。2人に1人はがんに罹患し、3人に1人はがんで死亡している時代において、「がん診療」はジェネラリストにとって避けることのできない分野である。患者・社会からのニーズも高く、この分野に臨むことはやりがいがあることは言うまでもない。その一方で、がん診療は壮大な学問であり、ジェネラリストが挑むにはいささかハードルが高かった。本書では、がん診療のメインストリームであろう薬物療法には、あえて深く踏み入らないことで、このハードルを一気に下げた。その代わりに、ジェネラリストが知りたい内容が盛りだくさんとなっており、がん薬物療法を普段行っていないジェネラリストのために特化した1冊である。
たとえば、がんの予防については患者からの質問も多く、ジェネラリストにとって知らなければならない知識の1つであるが、「がんの19.5%が喫煙による」「適度な運動はがん死亡リスクを5%下げる」などの具体的な記述は患者指導に大いに役立つであろう。また、がんのリスクとなる/リスクを下げる食品にも言及されている。がんを疑う徴候に関しても、たとえばLeser-Trèlat徴候は3〜6カ月以内の急性発症で瘙痒感を伴うことが脂漏性角化症との違いであることなど、臨床的に重要な知識が詰め込まれている。
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