特集 こんなところも!“ちょいあて”エコー—POCUSお役立ちTips!
【@救急】
❾気腫性尿路感染症×エコー
佐藤 直行
1
1社会医療法人かりゆし会 ハートライフ病院 総合内科
キーワード:
気腫性尿路感染症
,
気腫性腎盂腎炎
,
気腫性膀胱炎
,
ガス像
Keyword:
気腫性尿路感染症
,
気腫性腎盂腎炎
,
気腫性膀胱炎
,
ガス像
pp.955-958
発行日 2022年8月15日
Published Date 2022/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429203851
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気腫性尿路感染症
気腫性尿路感染症(emphysematous urinary tract infection)とは、ガス産生を伴った上部あるいは下部尿路感染症である。尿路感染症のなかでは稀であるが、主に気腫性膀胱炎と気腫性腎盂炎・腎盂腎炎(本稿では「気腫性腎盂腎炎」とまとめる)があり、尿路感染症の所見に加え、画像でガス産生の所見があれば診断できる。表11)に気腫性尿路感染症の特徴を示したが、臨床症状のみで通常の(気腫を伴わない)尿路感染症と鑑別することは難しいうえに、本症は重症度が高く、治療としても抗菌薬投与以外の介入を要することがあるため、「疑って、早く気づく」ことが重要である。
ガス像は単純X線写真でも確認できることがあるが、特に腎臓付近では腸管ガスとの区別が難しいことが多く、CT画像のほうが感度が高い。しかし、一般的に尿路感染症を疑った段階で全例にCT撮影することはなく、そもそも診療所などではCTにアクセスできない状況もある。腎盂腎炎で初療時に画像検査を行うタイミングは、敗血症を疑う時やショック合併時、あるいは、❶腎結石の既往、❷尿pH≧7.0、❸新規eGFR≦40mL/分/1.73m2の3つのうちいずれか1つがある場合であり、尿路の閉塞機転の確認が主目的となる2)。その際にエコー検査が有用であるが、ここで気腫性尿路感染症も疑うことができるかどうかが本稿のポイントになる。
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