画像診断
腹壁に波及した気腫性腎盂腎炎
平井 健一
1
,
三木 大輔
1
,
野村 芳雄
1
1大分三愛メディカルセンター泌尿器科
キーワード:
気腫性腎盂腎炎
Keyword:
気腫性腎盂腎炎
pp.76-79
発行日 2009年1月20日
Published Date 2009/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101640
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患 者 69歳,女性。
家族歴 特記すべきことなし。
既往歴 慢性関節リウマチ,高血圧(44歳),腎結石の指摘歴あり(不詳,数十年前)。
現病歴 近医内科で慢性関節リウマチに対してステロイド剤内服治療を受けていた。2007年6月中旬に腹痛を主訴とし近医内科を受診,腹部の発赤が強く,圧痛が著明であり,また採血上炎症所見もあることから腹壁蜂窩織炎および膿瘍と診断され,抗生剤投与が開始された。治療開始後6日間経ても炎症所見の改善がみられず,当院に紹介され受診となる。
検査所見および臨床経過 来院時,意識清明,38.0℃の発熱,腹痛,左背部痛を認めた。白血球数7,100/mm3,CRP 23.6mg/dl,尿沈渣所見にて赤血球20~29/hpf,白血球20~29/hpfであった。腹部CT(図1,2)およびKUB(図3)で左珊瑚状腎結石と腎実質内ガス像,ガスを含む腹壁膿瘍を認めた。左気腫性腎盂腎炎による腹壁蜂窩織炎,腹壁膿瘍と診断し,腹壁のドレナージを行った。このときの膿瘍培養からは大腸菌が検出された。
全身状態管理および抗生剤(メロペネム三水和物1.5g/日)投与にて,第10病日には全身状態は安定し,炎症所見も徐々に改善,第60病日には腹壁膿瘍は消失し,退院となった(図4)。
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