Empirical EYE
「大学総合診療部門」の現状と未来への提言
鍋島 茂樹
1,2
1福岡大学 総合診療部/東洋医学診療部
2福岡大学 地域医療連携センター
pp.89-93
発行日 2020年1月15日
Published Date 2020/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429202458
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「総合診療」が専門医の基本領域として認定され、2018年度からその専門医プログラムがスタートした。そして、いよいよ2021年には、日本で初めての「総合診療専門医」が誕生することになる。社会的にも「総合診療」という領域が少しずつ認められ始めており、さまざまな病院において「総合診療科」の院内掲示を見かけるようになった。国が進める地域包括ケア構想においても、その中心的役割を占めることが期待されている。
一見順風満帆にも見える総合診療だが、内部から眺めると、専門医プログラムやサブスペシャリティ、総合診療科標榜の可否、日本内科学会や医師会との共存など、さまざまな問題を抱えている。そのなかでも、「大学」における総合診療部門は、あまり認知されてはいないが、多くの課題と矛盾を抱えていると言えよう。筆者は、医学部卒業以来、長年、大学総合診療部門と関連学会に所属してきた経歴をもち、現在は福岡大学病院総合診療部に籍を置いている。そこで本稿では、大学の総合診療部門の現況や特徴、およびタイプ別分類を概観し、今後の大学総合診療部門のあり方について考えていきたい。
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