国試にたずねよ・14
触れてみなくちゃ、脈ナシかどうかわからない。
山中 克郎
1
1諏訪中央病院総合内科
pp.275-277
発行日 2018年2月15日
Published Date 2018/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429201371
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仲田和正先生(西伊豆健育会病院)がメーリングリストで紹介されていた、『欧米に寝たきり老人はいない』を読んでみた1)。著者の宮本顕二・礼子夫妻は、認知症医療に携わる内科医である。
日本では、自分で食べることができなくなった終末期高齢者への点滴や経管栄養が普通に行われている。しかし欧米では、高齢者の延命治療は人権を侵し倫理的に問題があるとして行われていない。人生は楽しむためにあり、高齢者施設でも自由に酒を飲める。食事介助も行わないので、自分で食べることができなくなると、2週間くらいで安らかに亡くなるという。「1日でも長く生きていて欲しいのです」という家族の希望を受け入れ、点滴や経管栄養で不自然に寿命を延ばすことが、本当に高齢者の幸せにつながっているのだろうか、と大いに考えさせられた。
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