Editorial
初診忘るべからず
松村 真司
1
1松村医院
pp.629
発行日 2016年8月15日
Published Date 2016/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429200600
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当院の電子カルテの登録患者数が,まもなく1万になる.この数が,一般的な医師と比べて多いのか少ないのかはわからない.しかし,この15年間,それなりに流行っていると目されている診療所で,来る日も来る日も頑張った結果である.1万という数は,日本武道館のような大きめのキャパシティのところでも一杯になるが,東京ドームならガラガラ,という数字である.今まで診察した人たち全員を観客席に入れてステージから眺めた風景を想像してみると,まあ,そんなものなのかな,というのが正直なところである.
確かなのは,これらすべての人と私の間には“初めて会った瞬間”がある,ということである.ある時は診断にたどり着き,またある時はたどり着かないまま関係は終わり,時にこの関係は苦い思い出へと変わっていった.まさに一期一会.世界はすべからくそのような出会いで構成されているのだろうが,病や死といった人生において重要な出来事と私たちの仕事が関連していることもあって,やはり私たちの世界は特別な出会いで成り立っている,という気もするのである.
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