特集 The 初診外来
【初診のみかた】
上気道症状
岸田 直樹
1
1一般社団法人 Sapporo Medical Academy
キーワード:
3症状チェック
,
典型的かぜ型
,
5 killer sore throat
,
抗菌薬適正使用
Keyword:
3症状チェック
,
典型的かぜ型
,
5 killer sore throat
,
抗菌薬適正使用
pp.651-655
発行日 2016年8月15日
Published Date 2016/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429200606
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Case
「かぜ」と言われて薬をもらったがよくならないため受診した一例
患者:42歳,女性.特に基礎疾患なし.
現病歴:2日前からかぜ症状があり,近医を受診したところ「かぜ」と言われ,PL配合顆粒(総合感冒薬)とブルフェンⓇ(NSAIDs:非ステロイド性抗炎薬)などを処方されるも改善しないため受診した.「かぜはウイルス性上気道感染症で,そのウイルスを死滅させる薬は現代医療をもってしてもありません.つまり,かぜに効く薬はなく,薬はあくまで症状緩和目的で,内服してもはやくよくなるとか,こじらせなくなるとかいうことはありません」と,いつもの説明をするつもりで診察した.
「かぜって,具体的にどんな症状ですか?」と聞いたところ,3日前から悪心・嘔吐・腹痛があり,下痢と倦怠感がよくならないと言う.いわゆる「かぜ(ウイルス性上気道感染症)」と言える症状は全くなく,強いて言えば「お腹のかぜ(ウイルス性胃腸炎)?」と前医に言われたのを患者さんが「かぜ」と勘違いしたのかと考えたが,総合感冒薬が処方されている.「何でもかぜと診断し,しかも総合感冒薬を処方する」という“かぜ診療”の現状を肌で感じ,患者説明に苦慮した貴重な症例であったが,決して稀ではない.
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