特集 “賢い処方”と“ナゾ処方”
【“賢い処方”への第一歩】
そもそも“ナゾ処方”とは?—不適切処方をしない/放置しないための8箇条
北 和也
1
1やわらぎクリニック
キーワード:
ナゾ処方
,
薬剤有害事象(ADE)
,
潜在的な不適切処方(PIM)
,
medication appropriateness index(MAI)
,
prescribing cascade
,
deprescribing
Keyword:
ナゾ処方
,
薬剤有害事象(ADE)
,
潜在的な不適切処方(PIM)
,
medication appropriateness index(MAI)
,
prescribing cascade
,
deprescribing
pp.451-458
発行日 2016年6月15日
Published Date 2016/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429200555
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“ナゾ処方”のスクリーニング
NSAIDs潰瘍による出血性ショック(p.487),SU薬による低血糖性昏睡(p.488・500・512)など,派手な薬剤有害事象(adverse drug events : ADE,p.486)で痛い目にあえば,以降の処方には十分注意を払いたくなる.しかし,なかには認識しにくいADEもあり,その場合は経験を蓄積しにくいので,同じ過ちを繰り返しうる.たとえば次のようにして,“見る人が見ればナゾ”な処方が繰り返されているのではないだろうか.
●ADEの発現が緩徐かつ地味なものはインパクトに乏しく「痛い目にあえない」ので,潜在的な不適切処方(PIM)(G1)としてなかなか意識できない(例:PPIによる慢性腎臓病〔後述〕).
●コモンな症状や非特異的症状は,ADEとして認識しづらい.特に超高齢者・認知症患者のADEは,underdiagnosis(過小診断)または誤診されやすい(図1).
●派手なADEが出ていても,後医のフィードバックを受けなければ,前医の経験知として蓄積されない.
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