シネマ解題 映画は楽しい考える糧[98]
「ツォツィ」
浅井 篤
1
1東北大学大学院医学系研究科社会医学講座医療倫理学分野
pp.800
発行日 2015年8月15日
Published Date 2015/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429200323
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南アフリカが舞台の名作
南アフリカを舞台にした,2006年アカデミー賞外国語映画賞受賞作品です.主人公は幼い頃に家出をして,今や少年ギャングになっている中学生くらいの若者.皆から“ツォツィ”と呼ばれています.ツォツィは「不良,チンピラ」の意.学校にも行かなければ仕事もありません.ある日,仲間の1人が殺人を犯してしまったのをきっかけに仲間割れ.ツォツィは車強盗を単独で行い,運転していた女性を撃ってしまいます.ところが盗んだBMWには生後数カ月の乳飲み子が乗っていました.
ツォツィは後先考えず赤ん坊を連れて帰りますが,扱いあぐねて途方に暮れてしまいます.そこで授乳中のミリアムという若い母親に銃を突きつけて授乳させます.ツォツィは赤ん坊に,少しずつですが着実に愛着を感じるようになっていきました.しかし,彼に乳飲み子を育てられるわけはありません.ミリアムにも「両親に赤ちゃんを返すように」言われます.ツォツィは一大決心をして,赤ん坊の両親の家を訪ねるのでした.
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