Japanese
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特集 膵炎―診断と治療の最前線
各論
慢性膵炎
慢性膵炎の外科的治療の現状
Current surgical management of chronic pancreatitis
伊佐地 秀司
1
Shuji ISAJI
1
1三重大学医学部 肝胆膵・移植外科
1Department of Hepatobiliary Pancreatic and Transplant Surgery,Mie University Graduate School of Medicine
キーワード:
膵管空腸側々吻合術
,
膵頭十二指腸切除術
,
Beger手術
,
Frey手術
,
ハイブリッド手術
Keyword:
膵管空腸側々吻合術
,
膵頭十二指腸切除術
,
Beger手術
,
Frey手術
,
ハイブリッド手術
pp.723-728
発行日 2011年11月15日
Published Date 2011/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1428100493
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要旨
慢性膵炎の手術適応は,炎症性腫瘤,総胆管閉塞,十二指腸閉塞,膵管拡張・疼痛をもたらす膵石,合併症をもたらす膵仮性囊胞,膵癌との鑑別が困難な場合などであるが,最近の内視鏡的治療の進歩により,膵管拡張・疼痛をもたらす膵石に対しては,現在では内視鏡的治療が第1選択とされている.しかし,膵頭部実質の石灰化など内視鏡的治療困難例に対しては外科手術を第1選択とすべきである.本邦ガイドラインの術式分類は,膵切除術と膵管ドレナージ術の2つに分類しており,欧米の慢性膵炎外科治療の中心は膵頭部にあるというコンセンサスから生まれたハイブリッド手術(膵管減圧と限局的膵頭切除を組合せたBeger手術やFrey手術)を独立させていないのが大きな問題であることを指摘した.術式選択には,病態と病変の主座がどこにあるかをまず念頭に置き,次に術式の有効性,安全性,容易性を考慮して決定することが大切であるが,この観点から膵頭部病変に対してはFrey手術に優位性があると考えられる.
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