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慢性膵炎の手術の目的は,おもに疼痛に対する徐痛である.本邦の慢性膵炎診療ガイドライン20211)によると,外科的治療の適応は内科的保存的治療や内視鏡的治療,体外衝撃波結石破砕術(ESWL)が無効な難治性疼痛とされている.また疼痛以外にも,胆道狭窄や十二指腸狭窄,症候性の仮性膵囊胞,また悪性腫瘍が疑われる場合も手術が考慮される.疼痛のメカニズムは膵周囲知覚神経障害・変性,膵管および膵組織の内圧上昇によるといわれており,膵管の除圧が手術の目的である.また,多くの症例では膵管に結石が充満,嵌頓しており,内視鏡的治療やESWLにて除去が困難な場合があり,それらを取り除くことが可能である.また,時に膵頭部の腫大がみられるが,膵頭部は慢性膵炎の疼痛のペースメーカーともいわれており,その部分を外科的に切除することで疼痛緩和に寄与すると考えられる.
慢性膵炎の術式には様々なものがあり,長軸方向に膵管を切開し腸管と吻合するPuestow手術,Partington手術のような膵管ドレナージ術2, 3),限局した病巣を取り除く膵頭十二指腸切除,膵体尾部切除のような膵切除術,それらを組み合わせたFrey手術とBeger手術4, 5)などがある.膵管拡張の度合や病巣の局在,広がりなどからそれぞれ適した術式を選択することとなるが,様々な術前画像による評価が重要となる.ガイドラインでは,膵管拡張のある症例では膵管ドレナージ術が基本となり,膵頭部にも病変がある場合にはFrey手術が推奨されている.また,膵切除は疼痛緩和効果は膵管ドレナージ術と同等であるものの,合併症や術後新規糖尿病発生率が膵管ドレナージ術より高いことから,膵管拡張のない症例に選択されるべきとされている1).
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