特集 経過を追えた小膵癌―この所見に気をつけろ!
症例のまとめ
各症例からみた有効な経過観察方法
山雄 健次
1
Kenji YAMAO
1
1愛知県がんセンター中央病院 消化器内科
1Department of Gastroenterology,Aichi Cancer Hospital
キーワード:
膵癌ハイリスクグループ
,
上皮内癌
,
小膵癌
Keyword:
膵癌ハイリスクグループ
,
上皮内癌
,
小膵癌
pp.307-309
発行日 2011年5月15日
Published Date 2011/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1428100398
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はじめに
「経過を追えた小膵癌―この所見に気をつけろ!」を企画するにあたって,膵癌のハイリスク群とされているものの中から慢性膵炎,膵石症,糖尿病,家族性膵癌,IPMN(intraductal papillary mucinous neoplasm),膵囊胞,自己免疫性膵炎を選び,執筆者の先生方には,これらハイリスク因子を有する患者さんの経過観察中に発見された比較的早期の膵癌の症例,できれば上皮内癌や20mm以下の膵癌の症例を呈示していただきたい旨の依頼をさせていただいた.しかし,現実には早期膵癌(定義すら不明確)や小膵癌自体の切除症例がいまだ少ないことに加え,膵癌のハイリスクグループの設定は本邦においては2006年に公表された「膵癌診療ガイドライン」において初めて明確に整理されたと言ってよく,日常診療を行っている多くの医師にいまだ広く周知徹底されているとは言い難い.
したがって,今回の症例の中には上記の依頼に沿って比較的早期の膵癌症例を呈示していただいた執筆者もおられるが,発見・治療時には既に進行していた膵癌を呈示していただいた執筆者もある.以下にハイリスクごとに呈示していただいた症例のまとめを行い,どのような所見が膵癌の早期発見のきっかけになり得るか,またどのような経過観察方法が適切であるのかを考察してみたい.
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