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日本腹部造影エコー・ドプラ診断研究会(代表世話人松田康雄,事務局工藤正俊)の歴史は,その前身の日本超音波医学会腹部造影エコー研究部会にまでさかのぼることができる.平成6年から平成8年まで年4回続けられた本研究部会が2年間の研究活動の後,その成果を残すことができた.その後,幹事が中心メンバーとなり,平成7年11月に「日本腹部造影エコー・ドプラ診断研究会」を設立し全国規模の研究会としてスタートした.第1回研究会(当番世話人工藤正俊,神戸)では,テーマとして「造影エコー法とカラードプラによる腫瘍血流検出能」を取り挙げ,特別講演として平井都始子先生(奈良医大腫瘍放射線科),森安史典先生(京都大学消化器内科,現東京医大第4内科),松井 修先生(金沢大学放射線科)による講演が行われた.参加人数は220人を超える盛況であった.
以後,第2回(堀口祐爾会長,名古屋),第3回(上野規男会長,栃木),第4回(戸原恵二会長,福岡),第5回(小井戸一光会長,札幌),第6回(久 直史会長,高知)と常時150人を超える会員が集まり,活発に討議を続けている.この研究会はその名の通り,CO2動注造影エコー法,造影カラードプラ法,および一般のカラードプラ診断全般がメインテーマであるが,特に平成12年11月6日,第7回(平井都始子会長,奈良)の会の前の9月には,わが国でも静注造影剤Levovistが市販され,会ではそれについてのシンポジウムが組まれ,Levovistの初期臨床経験が活発に発表された.第8回は,大垣市民病院の熊田卓会長のもと平成12年3月26日に行われたが,ここでもそのLevovistを使用した各装置メーカーとの共同研究の成績が発表されシンポジウムで活発に議論がなされた.この会の参加者は300名を超えた.この第8回からは,日本超音波医学会の正式な後援も得られ,また,専門医制度の認定研究会となることも正式に決定され,ますますこの領域において重要な研究会に成長するものと思われる.特に肝細胞癌を初めとする肝疾患の多い日本においては,超音波造影剤の至適な使い方,役割,限界を明らかにすることが重要課題であり,さらに今後世界に向けて積極的に発信してゆく必要がある.その意味でも本研究会の果たす役割は21世紀に向けて極めて大きいものになっていくと思われる.次回は平成12年10月7日(土)虎の門病院の竹内和男会長のもと,東京で開催する.興味のある先生の積極的なご参加を期待する.
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