話題
エコードプラ造影剤
竹中 克
1
1東京大学医学部附属病院検査部
pp.42
発行日 1995年4月15日
Published Date 1995/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902312
- 有料閲覧
- 文献概要
心エコー図では,心筋や弁などの構造物は白く,血液の流れている心腔や血管内は黒く描出される.僧帽弁狭窄症例の左房腔内でみられるように,血流うっ滞がある場合には,非常に多数の微小エコーからなり煙のように絶えずゆっくりと血流に乗って渦を巻く境界不明な不定形エコー,すなわちモヤモヤエコーがみられることがある.しかし,このような例外を除いて,心エコー図のみでは,血液の流れている様子はわからない.
Gramiakらは,心カテーテル検査時に生理食塩水を注入すると心腔内に雲状のエコーがみられることを1969年に報告し,コントラストエコーと命名した.その後の研究により,このコントラストエコーの実体は微小気泡であることが判明した.1970年代には,2本の注射器を三方活栓で連結し,その間を生理食塩水を行き来させ攪拌することにより,微小気泡を作製し,末梢静脈から急速注入し,右心系のコントラストエコーを得た.心腔内の血流が可視化されるということで,コントラストエコー法は,三尖弁逆流や短絡疾患の診断に盛んに応用されたが,1980年代にカラードプラが発明され,注射なしで心腔内の血流の可視化が達成され,本法は急速にすたれていった.これと交代するように注目されてきたのが,大動脈あるいは冠動脈内注入による左室の心筋コントラストエコーである.例えば,梗塞により死亡した心筋はコントラストにより染影されないが,正常の心筋は染影される.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.