講座 MRIの基礎から臨床応用
肝特異性造影剤
奥田 茂男
1
1慶應義塾大学医学部放射線診断科
pp.388-393
発行日 2000年5月15日
Published Date 2000/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427900189
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はじめに
肝臓を対象にしたMRI検査では,腫瘤性病変の診断のために3つのステップがある.第一には病変部におけるT1,T2などの信号変化による評価である.原則的には,腫瘍は正常肝組織よりもT1強調画像で低信号,T2強調画像で高信号を示す.この原則からはずれる場合には,信号のパターンを利用して,脂肪含有,腫瘍内出血,間質成分の増加など,腫瘍の内容を推察することができる.
次のステップは,静注後に血液から細胞外液に移行・分布するガドリニウムキレート製剤(Gd―DTPA)による造影MRIである.MRIはX線CTと比べて空間分解能は劣るが濃度分解能は優れているので,急速静注を行い動脈相を捉えて撮像(dynamicstudy)することにより,腫瘤の動脈性血流の多寡を評価できる.また,血流に富んだ肝細胞癌などでは,より小さな病変を描出することができる.最後のステップは肝特異性造影剤の利用である.1997年に国内使用が認可され,肝臓の腫瘤性病変を対象とした検査におけるMRIの役割がよりいっそう大きくなった.
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