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第30回日本消化器画像診断研究会が1999年1月6,7日にハワイ・オワフ島のIhilani Resort&Spaで行われました.本研究会の歴史については前回(「消化器画像」1999:1:137)に詳しく述べられていますので繰り返しは避けさせていただきますが,私自身は大変光栄なことに竹原靖明先生が当番世話人をされた第1回の研究会(1983年)から国内で開催された会にはほとんど出席しております.海外での開催は第6回のグアム島が最初と記憶していますが,今回のハワイで計6回になります.私はグアム,プーケット,ハワイの計3回参加いたしました.
さて,今回は海外の研究会ということで一般演題(症例報告)ほかに教育講演3題,パネルディスカッション1題が組まれました.症例報告は29題あり,全体としてはこの研究会ならではの質の高い,興味深い症例が多数を占め活発な討論がなされたように思いますが,一部の症例に検討が不十分であったり,発表内容に疑問をもたざるを得ないものがありました,本研究会ではほかの研究会には少ない病理の先生の辛辣なコメントや厳しい討論がなされるのが特徴でありこの会の“うり”でもありますので,それに耐えうる画像や病理写真の呈示をして欲しいと思いました.パネルは“膵癌と腫瘤形成性膵炎の鑑別”をテーマに,須田耕一教授の基調講演と5人の演者による講演があり,後半はクイズ形式で3症例が提示され5人の演者の読影を中心に会が進行しました.講演では腫瘤形成性膵炎の病理学的特徴や演者が各々得意とする診断方法の最新の知見が披露されました.しかし,後半に呈示された症例をみるにつけ,種々の画像診断法を駆使しても鑑別困難例が厳然と存在することを痛感しました.ただ,当然やっておかなければならない検査が抜けていた症例もあったかなと思うのは討論に参加した筆者の言い訳でしょうか?教育講演は,神代正道先生が“非定型的形態を呈する肝結節性病変と画像診断”,須田耕一先生が“膵管内乳頭腫瘍の発育進展”,大橋計彦先生が“膵管内乳頭腫瘍の臨床的問題点”を各々講演されいずれも長年その道に携わってこられたオーソリティの先生方であり,画像と病理を解りやすく解説いただき参加者一同大変勉強になり,今後の臨床の糧になったと思います.
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