特集 公衆衛生の新しい展開と団体活動
日本循環器管理研究協議会
小町 喜男
1,2
Yoshio KOMACHI
1,2
1(社)日本循環器管理研究協議会
2筑波大学(社会医学系)
pp.303-305
発行日 1988年5月15日
Published Date 1988/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207677
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■設立までのいきさつ
昭和30年代後半は,日本の公衆衛生関係者や,臨床医学の関係者に成人病,とくに循環器疾患に対する関心が極めて強く持たれた時期である.戦後の混乱期からの脱却,結核など感染性疾患の死亡率の減少といった従来の公衆衛生対策がようやく一息つける段階になり,改めて周囲を見回すと,脳卒中をはじめとする成人病の罹患率や死亡率の高いことがひしひしと実感されるようになった.この表現をどのようにしようかと随分迷ったが,この「ひしひし」としか表現しようがないほど,当時の脳卒中の重圧は強かった.
農村は勿論,都市でも,脳卒中はごく普通にみられる疾患であり,高血圧の人の終着点として,避けられぬ宿命のように考えられていた.また,現在にみられるような老人病ではなく,都市でも50歳,60歳代で多発し,農村ではこれよりも10年早く多発する傾向があった.つまり,日本人の脳卒中は,働き盛りの年代の人々を直撃するという恐ろしさをもっていた.
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