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連載のはじめに
本連載は,主に臨床の先生方に「消化器病理診断」についての基礎知識を提供するものです.大学院や研修などで病理を“始める人”にとっては専門的知識習得への橋渡しに,診療や研究で“関わる人”には病理医とのコミュニケーションの一助となればと思います.基礎知識だからといって,病理学の教科書にあるような病理所見の網羅的説明ではなく,むしろ病理診断がどのように下されるかに重きをおくつもりです.そうすれば,臨床医が知っておくべき病理診断のしくみや重要性だけでなく,自ずとその限界も分かって貰えると思うからです.
連載第1回目は,病理診断報告書を手にしたときのチェック項目,検体の取り扱いや提出時の注意点から始めます.次回からの臓器別病理学的検索のポイントでは,具体的に病理検体の検索過程や病理医の思考過程などについて説明していきます.また,学会などでしばしば話題になっているトピックスについて,その概念や争点となっている事柄などを病理学的視点から述べるコーナーや必要に応じてコラム(FAQコーナー)なども設けます.毎回,少ないページ数に詰め込み過ぎの感もありますが,読んで下さる方々に少しでも役に立てば嬉しく思います.
なお,この連載は主に,私が関東逓信病院(現NTT東日本関東病院)や国立がんセンター中央病院,同東病院勤務中に,病理検査室を訪れた臨床各科の先生方,慣れない病理診断業務に戸惑っていた病理ローテーターの先生方とのディスカッションや立ち話がヒントとなり,またエネルギーとなって生まれたものです.私自身,病理医としては駆け出しではないにしろ,熟練の域にはほど遠く,ここで偉そうなことを書くつもりはありません.何とかこの,“ディスカッションや立ち話”レベルのことを,上手く整理して実用的な情報として伝えられればと思います.
ご質問,ご意見などありましたらE-メール(NFGastroimage @aol.com)または郵便(Noriyoshi Fukushima, MD : Department of Pathology, The Johns Hopkins Medical Institutions, 632 Ross Building, 720 Rutland Avenue, Baltimore, MD 21205-2196, USA)でお送り下さい.可能な限り以後の連載に反映させたいと思います.
連載予定のテーマ
[1]診療や研究に病理診断を生かそう!
[2]膵臓:迅速診断の正診率は5割!?
[3]胆道・胆囊:立体的イメージ力を磨こう!
[4]肝臓:やっぱりグリソン鞘がカギです
[5]消化管:消化管に始まり消化管に…
[6]特殊検査の基礎知識:適切な選択と解釈
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