講座 症候からみた腹部エコー検査のこつ
鑑別のポイントと描出のテクニック
浮腫
関口 隆三
1
,
仲地 耕平
1
,
古瀬 純司
2
,
石井 浩
2
1国立がんセンター東病院放射線部
2国立がんセンター東病院肝胆膵内科
pp.295-299
発行日 2005年3月15日
Published Date 2005/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427100050
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はじめに
浮腫とは,臨床的に細胞外液が間質の結合組織内や体腔内に過剰に貯留した状態をいう.体腔内への貯留は高度な場合に見られ,胸水は胸腔内,腹水は腹腔内への過剰な液体貯留を意味している.皮下組織に水分の貯留した状態となることより,浮腫の有無は,顔面(眼瞼)や下肢のむくみ(腫大),指圧痕などの身体所見により判定される.極軽度のときには身体所見に乏しく,体重増加のみ見られるため,患者が肥満と誤っていることがある.
浮腫が見られた場合には,それが全身性のものであるか,局所に限局したものであるかをまず鑑別する.図1に症候からみた浮腫を来たす代表的な疾患を示す.全身性の浮腫は,心臓,腎臓,肝臓などの重要臓器の高度な障害や代謝障害により引き起こされることが多く,限局性の浮腫は,静脈やリンパ流の局所還流障害により生じることが多い.
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