連載 スーパー臨床神経病理カンファレンス・1
易転倒性で発症し,経過5年で死亡した76歳男性例
佐野 輝典
1
,
川添 僚也
2
,
佐藤 典子
3
,
髙尾 昌樹
1
1国立精神・神経医療研究センター病院臨床検査部
2東京都立神経病院脳神経内科
3国立精神・神経医療研究センター病院放射線診療部
キーワード:
進行性核上性麻痺
,
房状アストロサイト
,
TSA
,
神経原線維変化
,
NFT
,
姿勢反射障害
,
PSP-PI
Keyword:
進行性核上性麻痺
,
房状アストロサイト
,
TSA
,
神経原線維変化
,
NFT
,
姿勢反射障害
,
PSP-PI
pp.193-201
発行日 2024年2月1日
Published Date 2024/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416202584
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〔現病歴〕72歳時,立位,歩行時のバランスが悪くなり,後方に転倒するようになり,屋外で杖,自宅で手すりを要した。73歳時,飲水でむせる嚥下障害を生じた。週に数回,転倒し,強く後頭部を打撲することもあった。四点杖,歩行器を使い始めた。当院脳神経内科外来を受診,神経学的所見「顕著な後方突進・姿勢反射障害,左上肢に寡動,左優位のすり足,小刻み歩行,嚥下障害,L-ドパ反応性はなし」。
74歳時,毎日転ぶようになった。症状は進行性に悪化し,75歳時,車いす移動になり,食事でむせるようになった。高次脳機能検査でMini Mental State Examination 30/30点,Frontal Assessment Battery 16/18点で,認知機能検査は正常範囲内だが,語の流暢性低下を認めた。失行を認めず,眼球運動制限は明らかではなく,不随意運動を認めなかった。
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