連載 スーパー臨床神経病理カンファレンス・3
歩行障害・易転倒性で発症し,小脳症状とパーキンソニズムのある60歳男性例
齋藤 理恵
1
,
近藤 浩
2
,
下畑 享良
3
,
岡本 浩一郎
4
,
小野寺 理
5
,
柿田 明美
1
1新潟大学脳研究所病理学分野
2脳神経センター阿賀野病院
3岐阜大学大学院医学系研究科脳神経内科学分野
4新潟大学脳研究所脳神経外科学分野
5新潟大学脳研究所脳神経内科学分野
キーワード:
脊髄小脳失調症
,
SCA
,
SCA2
,
ポリグルタミン病
,
歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症
,
DRPLA
,
神経病理
Keyword:
脊髄小脳失調症
,
SCA
,
SCA2
,
ポリグルタミン病
,
歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症
,
DRPLA
,
神経病理
pp.409-420
発行日 2024年4月1日
Published Date 2024/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416202620
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〔現病歴〕中学生頃より右手に力が入りにくかった。41歳から歩行時のふらつきが出現。母,同胞に類症あり。以後,緩徐に進行し,46歳頃から易転倒性が出現。47歳時,精査目的に大学病院神経内科へ入院した。
神経学的所見:体幹・四肢の運動失調,断綴性言語,眼球運動制限,緩徐眼球運動,認知機能低下(HDS-R 21/30),四肢筋強剛,眼輪筋の筋力低下,四肢Gegenhalten,チャドック反射陽性。自律神経障害,感覚障害はなし。頭部MRI(Fig. 1A)では小脳・脳幹に著明な萎縮を認めた。大脳には明らかな萎縮を認めなかった。本人・家族の同意を得て施行した遺伝子検査では,ataxin 2遺伝子におけるCAGリピートの伸長(42/22リピート)を認め,遺伝性脊髄小脳失調症2型(spinocerebellar ataxia type 2:SCA2)と診断された。
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