日眼百年史こぼれ話・3
医学記録:絵画と写真
三島 濟一
pp.257
発行日 1999年3月15日
Published Date 1999/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410906214
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陸上自衛隊衛生学校彰古館に熊本神風連の乱,西南戦争での戦傷の絵が多数保存され,120年前の出来事が鮮やかによみがえる。これらは,石黒忠恵が画家五姓田芳柳に描かせたものである。神風連の乱は刀による最後の戦闘といわれ,肩を袈裟がけに切られたもの,顔を水平に真っ二つに切られたものなど,生々しいものがあった。西南戦争は刀と鉄砲・大砲による最初の戦闘といわれ,大腿切断など大きい手術の絵があった。なかでも印象的であったのは,下眼瞼の大きい欠損を有茎皮弁で形成した術前,術後の絵で,今日の水準から考えても見事な手術である。
別の棚には,日清,日露戦争の戦傷写真帳があったが,いずれも黄変して詳細がわからなかった。当時の写真技術では致し方ないことであるが,写真記録の保存能力に失望した。
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