書評
「帰してはいけない外来患者 第2版」—前野哲博,松村真司【編】
北野 夕佳
1,2
1聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院救命救急センター
2聖マリアンナ医科大学救急医学
pp.180
発行日 2022年2月1日
Published Date 2022/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416202005
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救急外来診療には地雷がつきものである。しかし,救急外来は「救急に来た」という時点で医師側も子細に問診・診察する心の準備ができている。また画像検査を含め,手厚い精査が時間的・医療資源的にも許容される。入院病棟診療は,重症病態なので入念な対応を要するが,継続的に経過観察でき,悪化時にはすぐに認識できる(=時間を味方につけられる)という圧倒的な強みがある。
一方,外来診療はどうだろうか。「総合内科外来」にはどんな症例も来る。かつ,とにかく数が多い。朝,外来ブースで自分のリストに再診が6例しか入っておらずガッツポーズをしたのも,束の間の夢。「初診です」「近医からの紹介状ありです」「○○科外来から内科依頼です」「○○科入院中の方で,術前の内科依頼です」「健診で異常を指摘された二次精査です」と,次々に新患が入ってくる。はじめましての患者さんばかりである。救急搬送や入院と同様の時間を割いていては外来が回らない。待ち時間の長くなった再来の患者さんたちがイライラし,看護師さんからはにらまれる。こちらも泣きたくなる。ほとんどの症例は本日初療・精査を開始し,次回,結果説明と介入を始めれば大丈夫なのである。
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