書評
「帰してはいけない外来患者」―前野哲博,松村真司 編
藤野 智子
1
1聖マリアンナ医科大学病院
pp.941
発行日 2012年11月20日
Published Date 2012/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102950
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平成24年度の診療報酬改定で,院内トリアージが算定対象(院内トリアージ実施料,初診時100点)となりました。これに伴い,院内トリアージを正式に開始した施設も多いのではないでしょうか。実はトリアージ*を実施する看護師に必要とされる能力は多岐にわたり1),特に診断が確定していない患者に対する臨床推論や診断学といった,看護師が十分な教育を受けているとはいい難い力も必要とされます。
この書籍は,外来診療の初心者である後期研修医を主たるターゲットにしていますが,医師よりも先に患者に接触する看護師にとっても非常に有用な指南書といえます。編者は「外来診療と病棟診療はいろいろな点で大きく異なり…(略)…あくまで外来の状況設定で,外来特有の思考ロジックを学ぶことが必要」と述べています。各症状の特徴や見分け方を示した本はいくつもありますが,外来特有の思考ロジックを丁寧に,かつ明確に記述しているというところを,特に推奨したいと思います。
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