書評
—前野 哲博,松村 真司 編—帰してはいけない外来患者 第2版
北野 夕佳
1,2
1聖マリアンナ医大横浜市西部病院救命救急センター
2聖マリアンナ医大・救急医学
pp.1845
発行日 2021年10月10日
Published Date 2021/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402227870
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救急外来診療には地雷がつきものである.しかし,救急外来は「救急に来た」という時点で医師側も子細に問診・診察する心の準備ができている.また画像検査を含め,手厚い精査が時間的・医療資源的にも許容される.入院病棟診療は,重症病態なので入念な対応を要するが,継続的に経過観察でき,悪化時にはすぐに認識できる(=時間を味方につけられる)という圧倒的な強みがある.
一方,外来診療はどうだろうか.「総合内科外来」にはどんな症例も来る.かつ,とにかく数が多い.朝,外来ブースで自分のリストに再診6例しか入っておらずガッツポーズをしたのも,束の間の夢.「初診です」「近医からの紹介状ありです」「○○科外来から内科依頼です」「○○科入院中の方で,術前の内科依頼です」「健診で異常を指摘された二次精査です」と,次々に新患が入ってくる.はじめましての患者さんばかりである.救急搬送や入院と同様の時間を割いていては外来が回らない.待ち時間の長くなった再来の患者さんたちがイライラし,看護師さんからはにらまれる.こちらも泣きたくなる.ほとんどの症例は本日初療・精査を開始し,次回,結果説明と介入を始めれば大丈夫なのである.
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