書評
「現場で使える クリニカルパス実践テキスト 第2版」—日本クリニカルパス学会学術・出版委員会【監修】
真田 弘美
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1東京大学大学院医学系研究科老年看護学/創傷看護学
pp.179
発行日 2022年2月1日
Published Date 2022/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416202004
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本書『現場で使える クリニカルパス実践テキスト 第2版』では,クリニカルパス(以下,パス)の持つ意義を最大限引き出しながら,活用するための基本的ノウハウから実例を踏まえたヒントまで,実践ポイントがふんだんに盛り込まれている。初版と比べるとパスの組織づくりや運用の実例などの内容がさらに充実しており,これからパスを学びたい人はもちろんのこと,既にパスに関わっている医療職にもぜひ手に取っていただきたい1冊である。
パスで重要な点は「患者中心」のアウトカム達成にある。最近入院した友人が見せてくれた入院時の説明の中に,患者用パスが含まれていた。友人は,退院後の予定をあれこれと話し,手術に対する大きな期待を語ってくれた。その話を聞きながら,パスは不安の除去ばかりでなく将来への希望をつなぐ大切な手引きであることを実感した。医療者にとってパスは,最適効率で患者目標を達成し,在院日数短縮を目指すために非常に合理的な方法であることは違いない。ただ,われわれが忘れてはいけないことを著者らは何度も強調している。誰のためのパスなのか,業務の効率を優先するのではなく,あらためて患者中心のパスであるという極めて大事なマインドを思い出させてくれる。
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