書評
「帰してはいけない外来患者」―前野哲博,松村真司 編
井村 洋
1
1飯塚病院総合診療科
pp.65
発行日 2013年1月20日
Published Date 2013/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413103001
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外来診療トレーニングにとって,最良の参考書が出た。一般外来向けに作られているが,ERでも応用できる。いずれの現場でも,「“帰してはいけない患者”を帰してしまう危険性をはらんでいる」からである。その危険性を下げるためには,外来診療においても,病棟診療と同様に,反復学習と教育的介入の機会が必要となる。このことを本書は強調し,それを求める学習者に向けて作成されている。
「帰してはいけない患者を帰さない」ことは,外来診療のすべてではない。「帰してはいけない患者であっても危険を最小限に抑えて帰す」ことや,「帰してもいい患者にもしっかりケアする」こともある。それでも,あえて本書が強調していることは,十分に外来診療の教育を受ける機会がない学習者にとっては,「帰してはいけない患者」を見逃さない技能の獲得が,患者にとっても医師にとっても最優先されるということである(異議なし!)。その技能支援のため,本書は生み出された。
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