書評
「《ジェネラリストBOOKS》薬の上手な出し方&やめ方」—矢吹 拓【編】
平井 みどり
1
1兵庫県赤十字血液センター
pp.1003
発行日 2020年9月1日
Published Date 2020/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416201635
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この時期(2020年5月)だから新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の話から入ろう。レムデシビルが認可された,ファビピラビル(アビガン®)も,ノーベル賞受賞のイベルメクチンも,とさながら治療(の可能性がある)薬祭りの様相で,薬さえ決まれば大丈夫と政治家の方々は思っておられるようだが,感染症の専門家の話を聞いているのかしらと疑問に思ってしまう。頭痛にバファリンじゃないけれど,コロナにアビガンですっきり〜という訳には参りません。さほどに,一般の方々の「薬」に対するイリュージョンは大きい訳である。
薬の「上手な出し方」は誰しも知りたいところであろうが,「上手なやめ方」について,興味を持ち始められたのはごく最近である。処方を見なおして,不要な薬を減らそうと提案したところ,「必要だから処方してるんだ! やめろとは何事だ!」と激怒されたことがある。それもつい最近のこと。前医の処方には手を付けない,という不文律(?)も,そういうところから発しているのだろう。
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