書評
—矢吹 拓 編—《ジェネラリストBOOKS》—薬の上手な出し方&やめ方
秋下 雅弘
1
1東京大学大学院・老年病学
pp.1259
発行日 2020年7月10日
Published Date 2020/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402227075
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超高齢社会を迎えて患者の多くが75歳以上になるなか,生活習慣病や老年症候群などで多病の高齢者は多剤服用となることが多く,薬物有害事象や服薬管理上の問題を生じやすい.国の統計では75歳以上の約4割が5種類以上,約1/4が7種類以上の内服薬を1つの薬局から調剤されている現状がある.
そこで重要なキーワードが「ポリファーマシー」である.ポリファーマシーは,単に薬剤数が多いこと(多剤服用)ではなく,薬剤が多いことに関連して薬物有害事象のリスク増加,服薬過誤,服薬アドヒアランス低下などの問題につながる状態,つまり「多剤服用+(潜在的な)害」を指す.したがって,ポリファーマシーの是正では,一律の薬剤削減をめざすのではなく,処方適正化という観点から,患者の生活機能や生活環境などを考慮に入れて包括的に処方を見直し,多職種で対策を講じることが求められる.
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