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はじめに
2020年2月5〜8日に米国のデンバーで開催された国際神経心理学会第48回年次会議(The International Neuropsychological Society 48th Annual Meeting:INS 2020)に参加しました。INSは,神経・精神疾患患者や脳損傷患者,高齢者を対象に,脳と認知や行動の関係について理解を目指す神経心理学分野において,国際的かつ学際的な研究を推進することを使命とした学会で,毎年2月に北米で年次会議を,7月に北米以外の場所で中間会議を開催しています。年次会議は4日間の日程で参加者は約1,700名,中間会議は3〜4日間の日程で参加者は約400〜800名とのことで,そのどちらも学会員,非学会員,専門家,学生を問わず抄録を投稿し,参加することができます。中間会議の参加者に幅があるのは開催地によって参加人数にばらつきが出ているためでしょう。過去の中間会議の開催地はエルサレム,シドニー,ロンドン,ケープタウン,プラハ,リオデジャネイロでした。個人的には,年次会議の開催地であるシアトル,ボストン,ニューオリンズ,ワシントン,ニューヨークは他の学会でほぼ行ったことがあるので,中間会議のほうが開催地としては魅力的なのですが,規模が約半分から1/4になってしまうことを考えると選択に迷うところです。ただ今回は特に狙って年次会議を選択したわけではなく,年次会議の抄録投稿の時期である8月に,ちょうどそれまで行っていたパーキンソン病患者の内発的動機付けの研究が一段落したので,その研究成果の発表を行うべく参加を決めたのでした。
成田からの直行便で降り立ったデンバー国際空港はうっすら雪に覆われ,ごく稀にしか雪の降らない本州の端っこで育った自分はいやがうえにも気持ちが高まるのを感じました。そのうきうきした気持ちと,長いフライトを終えた安心感から,危うくポスターケースを手荷物として預け入れたまま忘れそうになったのはご愛敬としてください。デンバーは標高1,600mに位置し“Mile High City”とも呼ばれることから,酸素が薄いこともうっかりの一因だったかもしれません。
学会会場であるハイアットリージェンシー・デンバー・アット・コロラドコンベンションセンターは,空港から電車で40分,街中を走る無料バスで10分ほどの道のりでしたが,路線がシンプルでわかりやすかったため,迷うことなくすんなりとたどり着くことができました。今回は学会割引があったことから,贅沢にも学会会場であるハイアットに滞在したのですが,部屋の窓の直下にはコンベンションセンターを覗き込む巨大な青い熊のパブリックアートを,遥か遠くには地平線をなぞるように広がるロッキー山脈を眺めることができました(写真1)。
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