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書評 「脳腫瘍臨床病理カラーアトラス 第4版」—日本脳腫瘍病理学会【編】/若林俊彦,渋井壮一郎,廣瀬隆則,小森隆司【編集委員】
中里 洋一
1,2
1日高病院日高病理診断研究センター
2群馬大学
pp.1114
発行日 2018年10月1日
Published Date 2018/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416201144
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日本脳腫瘍病理学会の編集による『脳腫瘍臨床病理カラーアトラス』が第4版へと改訂された。WHOが2016年5月に脳腫瘍分類,いわゆる「ブルーブック」(WHO Classification of Tumours of Central Nervous System)を第4版改訂版として出版したことを受けての大改訂である。一見すると大きな変更はないように見えるかも知れない。それはこの第4版が第1版(1988年),第2版(1999年),第3版(2009年)と続いた本書シリーズの伝統をしっかり受け継いで作られているからである。すなわち,A4判上製本の書籍であり,原則見開きページで1腫瘍型が完結しており,厳選された見応えのある写真を大きく掲載しており,本文は簡潔で明快を旨としている,等々である。しかし,一歩内容に踏み込んでみると本書が4名の編集委員の並々ならぬ熱意により,緻密に計画された完成度の高い書物であることがわかる。
まず,著者が第3版の63名から99名へと大幅に増員されている。日本脳腫瘍病理学会の中核メンバーに加えて若手研究者を大幅に登用している。いわば学会の総力を挙げての著作であると言っても過言ではない。若手研究者の積極的な参加は,本書に新しい息吹を与えるとともに学会としての人材育成にも効果があると考えられる。本文の総論では脳腫瘍病理の歴史,新WHO分類,グリオーマの分子遺伝学,免疫組織化学が述べられ,現在の脳腫瘍病理の立ち位置が明確に示されている。
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