特別寄稿
モルヴァン症候群の原著全訳
河村 満
1
,
岡本 保
2
,
菊池 雷太
3
1昭和大学病院附属東病院
2富坂診療所
3汐田総合病院神経内科
pp.1056-1067
発行日 2016年9月1日
Published Date 2016/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416200552
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はじめに
現在モルヴァン症候群と呼ばれている疾患の原著論文を全訳し,掲載する。モルヴァン症候群は,神経免疫学的な知見の集積により,近年,日本でも注目が集まっている。しかし,この疾患がいつどのように発見され,またこの疾患に名を残すモルヴァンとはどのような人物なのだろうかと問われたら,きちんと説明できる人はそう多くはないと思う。われわれの興味もここにあり,少し前にこの疑問を解決すべく出発した。そして,情熱的で臨床にも優れ,神経学的にも大きな業績を残しながら,歴史に埋もれてしまった1人の医師の姿を垣間見ることになった。
まず原著をお読みいただく前に,解説編として,モルヴァンの人物像と業績を紹介し,さらにモルヴァン症候群の現在の状況を簡単にまとめるとともに,100年以上前に書かれた論文を理解するために必要な情報を補足する。蛇足の誹りを覚悟しつつ,少々お付き合いいただきたいと思う。
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