書評
「外来で目をまわさない めまい診療シンプルアプローチ」―城倉 健●著
田中 章景
1
1横浜市立大学大学院・神経内科学・脳卒中医学
pp.412
発行日 2014年4月1日
Published Date 2014/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416101767
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神経症候学は,19世紀の神経学者ジャン-マルタン・シャルコー(Jean-Martin Charcot)らが活躍した時代に,神経症候を神経病理所見と対比することで症候に特異的な責任病巣を明らかにするという手法により確立した。この当時の知見は現代に至るまで脈々と受け継がれてきている。そして,現代においても神経症候学が色あせないのは,神経学の分野では,患者を問診し診察で神経症候を明らかにするというスタイルが,最先端の診断機器と比較しても遜色ないほど多くの情報をもたらすことに起因している。
しかし,一方でMRIをはじめとする診断機器は客観的かつ正確に責任病巣を描出しうるし,遺伝子検査により100%確実な診断を下せる病気もある。このように患者から情報を得るツールが増え,その精度が飛躍的に向上するにつれ,古典的な神経症候学の相対的地位は低下してきているといわざるをえない。
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