書評
「《精神科臨床エキスパート》誤診症例から学ぶ 認知症とその他の疾患の鑑別」―朝田 隆●編 野村総一郎,中村 純,青木省三,朝田 隆,水野雅文●シリーズ編集
門司 晃
1
1佐賀大学・精神医学
pp.1389
発行日 2013年11月1日
Published Date 2013/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416101650
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まず「誤診症例から学ぶ」というタイトルが刺激的かつ魅力的である。編者の序文にも紹介されているが,北海道大学名誉教授である山下格先生の『誤診のおこるとき――早まった了解を中心として』という名著も過去にあり,評者は多くをこの著作から学ばせていただいた。やはり,「とくに失敗からこそ,人は多くを学ぶものである」というのが素直な現場感覚と思われる。
本書の内容を紹介すると,まずは編者が執筆した第1部「総論」では誤診の原因とその分類が取り上げられている。臨床診断を誤る6パターンとして,未知による失敗,無知による失敗,不注意による失敗,手順の不遵守による失敗,誤判断による失敗,調査・検討の不足による失敗が挙げられ,おのおのに対応する具体的な誤診パターンが紹介されている。続いて,ベッドサイドでもすぐに役に立つ認知症診察のポイントが簡潔かつ明瞭に述べられている。最後に「診断で失敗しないための習慣作り」という項が設けられている。具体的内容は本書をぜひご覧になっていただきたいが,まさに編者の臨床家としての深い知恵が開陳されている。
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