書評
「今日の神経疾患治療指針 第2版」―水澤英洋,鈴木則宏,梶 龍兒,吉良潤一,神田 隆,齊藤延人●編
金澤 一郎
1,2
1国際医療福祉大学大学院
2東大
pp.1041
発行日 2013年9月1日
Published Date 2013/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416101591
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この度,医学書院から表題の本が上梓された。第2版である。だが,これがほぼ20年ぶりの改訂であることがすぐにわかる人は少ないだろう。亀山正邦・高倉公朋両先生編集による初版の序にすでに,神経学は「遺伝子レベルの研究が最も盛んな領域」であり,「高齢化によって,わが国では,神経疾患対策が強く要請されている」とある。そのほかに,この20年間に臨床や研究の内容が縦にも横にも著しく拡がった。例えば,認知症が増加したうえにその鑑別診断も細分化したし,MRIをはじめとする画像診断が精緻化し,神経免疫学的病態の知見も増大した。疾患概念そのものが変わったものもある。精密になる一方の診断へのアルゴリズムも均てん化されてきた。当然,それに並行して治療法も進展した。新しい薬物や手術も開発され,治療の選択肢が多くなった。そればかりでなく,EBMの概念も定着し,いくつかの疾患について,「治療ガイドライン」も学会などの責任で作成されてきた。また,20年前にはそれこそ「夢物語」でしかなかった神経変性疾患の根本的治療も,遺伝子治療や細胞治療などによって「もしかしたら」と思わせるような時代になったことを忘れてはならない。
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