書評
「標準的神経治療」―日本神経治療学会●監修
神田 隆
1
1山口大学大学院・神経内科学
pp.475
発行日 2013年4月1日
Published Date 2013/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416101478
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本書は日本神経治療学会創設30周年の記念事業として,2008年から順次公表されてきた『標準的神経治療』を合冊したものである。ここに取り上げられている疾患は①手根管症候群,②Bell麻痺,③片側顔面痙攣,④三叉神経痛,⑤高齢発症重症筋無力症,⑥慢性疼痛,⑦めまい,⑧本態性振戦,⑨Restless legs症候群の9つであり,神経内科医だけが診る疾患よりも,より多岐にわたる診療科が関与する疾患に重点が置かれ,また,慢性疼痛・めまいといった神経内科医が日々の診療で困難を感じている症候が積極的に選択されているのがまず目にとまる。日常診療の中ではなかなか接することのできない他科の最先端の考え方も吸収しながら患者を治療したいという,第一線の神経内科医のニーズをよく理解した疾患ラインアップであると思われる。
本書の題名は『標準的神経治療』であるが,各章の記載の多くは治療指針のみにとどまらず,疾患概念,病態生理,疫学も含めた内容となっている。プラクティカルに治療はどのようにしたらよいかをダイレクトに伝えるだけでなく,疾患の基礎的な理解にも踏み込む内容となっており,より診療ガイドラインに近い記載といってよい。
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