書評
「医療事故の舞台裏 25のケースから学ぶ日常診療の心得」―長野展久●著
徳田 安春
1,2
1筑波大大学院
2筑波大附属病院水戸地域医療教育センター・水戸協同病院総合診療科
pp.424
発行日 2013年4月1日
Published Date 2013/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416101469
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この本は損害保険会社の顧問医師により書かれたものである。本書で記載されている25のケースはドキュメントファイルと呼ばれ,実際の医療紛争事例を臨場感あふれるドキュメンタリー風のケースシナリオにアレンジしたものであり,なぜ医療事故や訴訟に至ったのかがていねいに解説されている。数多くの医療事故での紛争を観察した著者ならではのことであるが,賠償金の支払いを巡って医師側に責任があるのかないのかなどについてのポイントがわかりやすく記載されており,貴重な教訓が豊富にまとめられている。
第1章では,診断での思い込みや見落としなどのピットフォール・バイアスによる診断エラーについてのケースファイルが収録されている。続く第2章では,患者さんや家族に対するインフォームド・コンセントのあり方が問われたケースファイルが記載されている。そして第3章では,検査や治療のための医療手技に関連する事故についてのケースファイルが収録されており,CVカテーテルや内視鏡手技に伴う事故などで争われたものが集められている。
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