学会印象記
第40回北米神経科学学会(2010年11月13~17日)
筧 慎治
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1財団法人東京都医学総合研究所運動失調プロジェクト
pp.521
発行日 2011年5月1日
Published Date 2011/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416100913
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何もかも桁外れに大きい。端から端まで歩いて数分かかる巨大なポスター会場(写真),溢れかえる研究者,数百を数える企業の展示ブース,近くのレストランは長蛇の列。アメリカのSociety for Neuroscienceの年次総会である。今年は西海岸の軍港の町サンディエゴで開催された。
この巨大な学会は,ここ数年は3万人以上の参加者を集め,いまだに記録を更新し続けているらしい。筆者が頻繁に参加するようになったのは90年代半ばからであるが,当時の参加者は2万人台と記憶する。個人的印象であるが,その増えた分は主に海外からの参加者と思われる。90年代の増加はヨーロッパと日本からの参加者が担った。当時はヨーロッパの若手研究者がポスドクポジションを捜すためにヨーロッパの神経科学会をパスしてここに来るという話をよく聞いた。そのうち7~8年ほど前から韓国の若い研究者(留学生ではない)の集団をちらほら見かけるようになったが,この2~3年は中国本土からの参加者が激増している。中国人の研究者は90年代から相当数参加していたが,大部分は留学生としての現地参加であった。もうお気づきであろう,要するに参加者は経済を映す鏡なのである。世界史的な変化がここにも現れている。
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