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連載 神経学を作った100冊(38)
シャルコー「サルペトリエール病院火曜講義」(1887-1888)
One Hundred Books which Built up Neurology (38)-Charcot "Leçons du Mardi a la Salpétriére" (1887-1889)
作田 学
1
Manabu Sakuta
1
1日本赤十字社医療センター神経内科
1Department of Neurology,Japanese Red Cross Medical Center
pp.194-195
発行日 2010年2月1日
Published Date 2010/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416100639
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シャルコーは本連載第11回(本誌第59巻11号)に紹介した体系的な金曜講義(「神経疾患講義録」)のほかに,火曜講義と言われる講義も行った。現在残っている講義録は,1887年11月15日に行われた脊髄癆の後に発症した顔面神経麻痺の症例講義から1888年6月28日に行われた脊髄空洞症の2例の症例講義までの29回の講演の中で行われた80の症例講義録である(Fig.1)1,2)。
金曜講義はあらかじめ患者を診察し,細心の注意を払い,熟考を重ねて研究した患者を呈示した。その講義録はあらかじめ一言一句を大切にして書かれ,講義が終わったときには印刷に回せるほどだったという。これに対し火曜講義は,彼が述べているように「毎回の講義は,毎日当たり前のように行っている神経学がいかに驚きにみち,複雑であるかを強調したもの」である。すなわちサルペトリエール病院の外来に診察を受けに来た患者をその場で診察し,診断し,予後・治療法まで述べる。
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