Perspective◆展望
糖尿病診療の基本—診察のGold Standard
大久保 雅通
1
1内科(糖尿病)久安医院
pp.913
発行日 2017年11月15日
Published Date 2017/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415200786
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現代の糖尿病診療において,血糖値やHbA1c,検尿などの検査データを欠かすことはできない.しかし注意深い診察によって得た情報を活用することで,これらのデータはさらに有用性を増すことになる.たとえば体重について述べると,初診時の問診で判明した体重の変動は,治療方針の決定に大きく寄与するであろう.継続治療中に身体所見として把握する体重の変化は,薬物を選択あるいは変更する際に,重要な示唆を与えるであろう.これらはあくまで一例であり,診療の基本としての診察は,いかに医療機器が進歩しても,その価値を減じることはない.
記念すべき本誌の第1巻第1号(2003年)では「診察の達人」と題し,また第2巻第3号(2004年)では「糖尿病外来 初診の心得十か条」と題して,診察のコツについて解説が行われている.優れた治療薬がこの数年の間にいくつか出現したが,医療者と患者の間に良好なコミュニケーションがあり,信頼関係が存在してはじめて適切な治療効果を期待することができる.決して診察を軽視していたわけではないが,改めて的確な情報収集のため何をすべきか,今回の特集を企画してみた.
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