糖尿病患者の口腔健康管理 はじめの一歩・10
データを診療に活かす
髙野 直久
1,2
1(公社)日本歯科医師会
2髙野歯科医院
pp.888-890
発行日 2017年10月15日
Published Date 2017/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415200778
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歯肉にできもの
歯周病は基本的には慢性炎症の経過を辿りますが,前回のように急性炎症に転化し,膿瘍を形成することもあります.図1aは慢性炎症の末に,歯肉にできものができたケースです.これは,歯肉に生じたフィステル(瘻孔)が少し盛り上がったものであり,かつ口腔内なので内歯瘻ということになります.外歯瘻は図1bのように顔面皮膚に生じます.両方のフィステルは,どちらかというと女性に多く形成されます.女性は治癒力も旺盛であるためか,男性よりも歯性の炎症の場合では慢性化して,フィステルを形成しながらも歯牙支持組織により脱落を免れ,局所においては,慢性炎症が小康状態であることが経験的に感じるところであります.
ここで,NDBデータ(平成26年4月から平成27年3月)から示されている傷病名の統計データから,歯根囊胞,外歯瘻,内歯瘻について見てみます.まず,歯根囊胞の算定数の性差は,図2ように女性のほうが56:44と多く算定されています.外歯瘻の算定数の性差は,図3のように女性が57:43と多く算定されています.また,内歯瘻算定数の性差は,図4のように女性が51:49とやや多いものの,性差は小さいようであります.これは,内歯瘻が外歯瘻より診療において算定するのが少ない可能性があることによると思われます.そこで,内歯瘻では,内歯瘻算定数が内歯瘻発生を正確には反映していないように考えられるので注意が必要と思われます.
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