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歯周病の重症度判断
一般成人の約8割が歯周病に罹患していると言われているなかで,特に糖尿病に罹患されている方では,歯周病に罹患している方も多く存在し,かつ歯周病が重症化していることも多く見受けられます.歯科医師からみますと,歯科来院患者が糖尿病であることを知らせていただくか,医療面接で聞き出せれば,その後の歯科治療を行うに際しても顧慮できます.しかし,現実には,歯科受診者の糖尿病罹患だけでなく,他の多くの疾患に罹患しているか,あるいは治療を中断しているかなどの情報は,ご本人の認識がないとなかなか聞き出すこともできない状況であることも多いように思われます.歯科に受診しているのに,なぜ,他の病気について伝えるのかと思う方もおりますし,言いづらい疾患ではなおさらです.たとえば内科でも,同じようなことはあると思いますが,実際のところはどのような状況になっているのか少し気になります.
日々の臨床において,糖尿病専門の代謝内科だけでなく,医科受診者においては,程度の差があるとはいえ,ほとんどは歯周病に罹患していると考えられます.しかし,その中で,特に歯科受診を強く勧めるべき方を選択するのは,時間的制約の内での診療においては,かなりの負担を伴う作業となるように思われます.以前,ある内科の先生が,「眼科のように基準が明確であればレベルがわかりやすく紹介しやすいけれど……,歯科はわかりにくい.」とおっしゃっていたことがあります.ちょっとしたことでも,歯科的に気になることを患者さん自身が話されるか,医師がなんとなく気になることを見出すか,あるいは,糖尿病と確定診断のついている患者には,ためらうことなく,眼科に対診を依頼するように「一度,歯科受診してみてください.」と受診勧奨するほうが,悩むこともなくよっぽどよいのかもしれません.なにせ,一般成人の約8割は歯周病なのですから,ましてや糖尿病患者ではそれ以上の高率で罹患されていることは容易に想像できることだと思います.
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