海外文献紹介
カロリー制限がDKD(diabetic kidney disease)を改善する—「バック・トゥ・ザ・フューチャー」糸球体過剰ろ過説,再び
細井 雅之
1
,
薬師寺 洋介
1
,
上野 宏樹
1
1大阪市立総合医療センター糖尿病内分泌センター 糖尿病内科
pp.706-709
発行日 2017年8月15日
Published Date 2017/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415200739
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腹部肥満の2型糖尿病患者では,過剰糸球体ろ過(GFR)がろ過量低下を加速させ,腎症の危険因子であるといわれています.糸球体過剰ろ過が肥満と慢性腎臓病(CKD)を結びつける原因と考えられています.そして,肥満手術が糸球体過剰ろ過を改善することから,減量そのものが,心血管危険因子を改善するだけでなく,CKDの発症と進行を抑えると考えられています.手術といった侵襲的な方法は,行える患者数に限界があります.カロリー制限は減量の最も基本的な方法ですが,今まで科学的な根拠はありませんでした.本研究(文献1)がこれを明らかにしました.
本研究(文献1)は,単一施設で,ランダム化オープンラベル,ブラインドエンドポイント,並行比較試験です.患者は18歳より年長,腹囲が男性94cm,女性80cmより大きく,血清クレアチニンが1.2mg/dL未満でアルブミン尿正常の対象者を,6カ月間の25%カロリー制限食群(CR)か標準食群(SD)に1:1にランダムに分けました.1次エンドポイントはイソヘキソール血清クリアランスで測定したGFRです.インテンショントリート変法で解析しています.
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