綜説
"Diabetic Rubeosis"
大沢 源吾
1
Gengo OSAWA
1
1新潟大学医学部第2内科学教室
12nd Department of Internal Medicine, School of Medicine, Niigata University
pp.89-96
発行日 1975年2月1日
Published Date 1975/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201388
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種々な内科的疾患で,皮膚所見がその診断のきつかけを与えてくれることはしばしば経験される."赤ら顔"もそのような皮膚所見の1つとして,殊に多血症やカルチノイド症候群の診断の有力な手がかりとして注目されてきた1).糖尿病においても高度なketoacidosisで昏睡におち入つた患者がしばしば紅潮を示し2),昏睡の鑑別を助ける症候とされているが,このほかに軽症ないし潜在性の糖尿病患者に顔面紅潮がかなり高率にみられることも欧米でははやくから注目され3)4),dia—betic"rubeosis"とよばれている.本邦ではおそらく有色人種であるという特殊条件もあつたであろうが,軽症糖尿病患者の顔面紅潮には従来あまり注意が向けられていなかつたように思われる.実際問題として,私共のささやかな経験例からしても,糖尿病患者のうちでいわゆる"赤ら顔"を示す者はそう稀ではないようであるし,それら"赤ら顔"の糖尿病に共通した検査所見もある程度抽出できるところから,この"赤ら顔"も糖尿病の診断や病態の把握に役立つ皮膚所見の1つではあるまいかと考えるにいたつた5).以下,"赤ら顔"を示す糖尿病患者の病態をのべ,糖尿病における広義のdermadromeとしての"rubeosis"のもつ意義について検討してみたい.
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