海外文献紹介
辛い食べ物は死亡リスクを低下させる??
長谷川 夕希子
1
,
中神 朋子
1
1東京女子医科大学 糖尿病センター
pp.726-727
発行日 2016年9月15日
Published Date 2016/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415200507
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唐辛子から抽出される生理活性物質は,肥満,心血管疾患,消化器疾患,癌等を改善させるといわれています.たとえば,唐辛子が食欲を低下させたり,副腎からのアドレナリン分泌増加を介してエネルギー代謝を亢進させたりして肥満を改善するという報告がありますし,唐辛子に含まれるカプサイシンは,カプサイシン受容体(TRPV1)を介してカプサイシン感受性神経興奮を引き起こし,胃粘膜の血流を増加,胃酸分泌を低下させ,胃粘膜保護に働くとされます.また,胆囊癌の発症を抑制したという報告や,腸内細菌にも影響を与えるという報告もあります.
本研究は,日常の食生活で,唐辛子を使った辛い食べ物の消費量と,死亡率の関連を調べることを目的としています.対象は,2004〜2008年に中国10地域で登録された,30〜79歳の男性199,293人,女性288,082人です.質問票を用いて,「最近1カ月でどのくらいの頻度で辛い食べ物を食べたか」などの辛い食べ物に関する項目と,年齢,性別,職業,学歴,収入,婚姻状態,既往歴,家族歴,身体活動量などの項目に回答してもらい,さらに身長,体重などの身体測定を行いました.2013年まで平均7.2年間にわたり追跡調査を行い,COX比例ハザードモデルを用いて死亡率を解析しました.
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