海外文献紹介
SGLT2阻害薬—血糖が正常な糖尿病ケトアシドーシスにご注意を
細井 雅之
1
,
薬師寺 洋介
1
,
上野 宏樹
1
1大阪市立総合医療センター糖尿病内分泌センター 糖尿病内科
pp.976-979
発行日 2015年12月15日
Published Date 2015/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415200310
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今回の論文は,何かと話題の多い,SGLT2阻害薬関連副作用のケトアシドーシスについてです.SGLT2阻害薬は体から糖分を排出させる作用があり,糖質摂取の少ないものでは,ブドウ糖,グリコーゲン貯蓄不足から,脂肪分解が起こり,ケトーシス,ケトアシドーシスを引き起こすのではないかと危惧されていました.一般に,1型糖尿病患者でのレジストリ研究では,糖尿病ケトアシドーシス(DKA)は6,796名で,5%近くの合併症です.DKAは高血糖(250mg/dLより以上),アニオンギャップアシドーシス,血中ケトン増加の3徴と,従来は定義されてきました.
海外では,カナグリフロジンの処方が多く,17,596例の臨床試験からの報告1)を以下に紹介します.2015年5月11日までのカナグリフロジンを用いたランダム試験17,596症例からのすべての糖尿病ケトアシドーシスと関連イベント(ケトアシドーシス,代謝性アシドーシス,アシドーシス)を分析しています.合計12例の糖尿病ケトアシドーシスが起こっており,カナグリフロジン100mgで4例(0.07%,1,000人年当たり0.522),300mgで6名(0.11%,1,000人年当たり0.763),プラセボ2名(0.03%,1,000人年当たり0.238)であり,今までの2型糖尿病患者での報告と同程度であったと報告しています.
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